ロシアンルーレット? 星穴岳(星穴新道)

この山行の前日に星穴岳を目指したパーティーが偵察山行の後にもかかわらずビバークになったそう
です。また翌月11月16日には残念ながらあるベテランクライマーが遭難死されています。
よほどの準備と覚悟のある方以外行かないほうがいいと思います。

【 山  名 】 星穴岳
【 山 域 】 妙義
【 日 時 】 2003年10月26日(日)
【 天 候 】 快晴
【 ルート 】 国民宿舎裏妙義6:00→6:20女坂登山口(星穴橋)→6:55星穴新道分岐7:40 P1基部→
       9:00 P2トラバース(核心)→9:55 P3 基部→10:25星穴岳11:00→(星穴沢下降)→
       12:55女坂13:10→13:35女坂登山口(星穴橋)→13:50国民宿舎裏妙義
【メンバー】 深澤さん、常吉
【 地  図 】 1/25000 南軽井沢
【参考記録】 失われた道:妙義星穴岳 他
http://home.att.ne.jp/green/tell/19990429/hosiana990429.htm

今年最後の課題になっていた妙義星穴岳に星穴新道から行ってきました。星穴新道は1970年の女子高校生2人の遭難を機に廃道となり、今は登山禁止となっています。西岳からのルートは昨年たぬきせんべいさんが登っているし、P2のトラバースなどのスリルを求めたこともあってあえて新道ルートで行きました。
表妙義の縦走路でも登りだったら鷹戻し以外は鎖を使わない私ですが、鎖を使わなければ登れない岩場の連続でした。(ベテランアルパインクライマーの深澤さんすら。)その上、いくつかの鎖はいつ切れても不思議はないというロシアンルーレットの感が強いこのルート お勧めできません。
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前夜の深澤さんとの宴会で痛い頭をさすりつつ国民宿舎駐車場(登山者用のスペース)を出発。東屋の広場の6張りのテントは起きる様子がないので皆裏妙義への登山客なのだろう。

星穴沢沿いの林道を20分ほど歩くと星穴橋。ここが女坂の登山口(表妙義縦走路からのエスケープルート)である。ここまでは車が入れると知っていたらそうしたのに。
女子高校生の慰安遭難碑に心の中で手を合わせ入山。女坂は登山道とは言え藪っぽく、5分も歩かないうちにルートミス。今回妙に弱気になっている私は「やめて引き返したほうがいいのかな?」などと考えてしまう。

女坂が沢の左岸から右岸へ渡渉する手前に星穴尾根への分岐があるが、これを見落としてそのまま女坂を進んでしまい、またもや約20分のロス。星穴尾根への分岐は女坂が渡渉点に向かって降り始める所(←女坂・国民宿舎→の道標がある地点)だった。
尾根を進みP1は右から巻くが、古い鎖が連続する。内一本はこれに頼らねば登れないのに、古〜いシュリンゲで固定されていて恐ろしかった。いつ切れるやら。

P2の岩峰が尾根をふさいだ地点で迷わずアンザイレンして右手に続く明確なバンドをトラバースして進んだが、左コーナーの先で行き詰って敗退。やむなく基部まで戻って参考記録をよく見てみると、どうやら基部手前の古い道標の地点から左へ回り込むようだ。2・30m先で核心部のP2トラバースのコップ状岩壁に出た。なるほど恐ろしいトラバースだ。古い鎖はあるもののスタンスはほとんどない。深い谷底に落ちたら助からないのは当たり前として遺体の回収すらできない?
西上州の大御所E/Uさんはここを振り子トラバースしたって言うけど・・・怖すぎる。
     P2トラバース
  
「頼むぜ」の一言を残し深澤さんがアタック。さすが深澤さん、それほど苦労もせずに終了し、対岸のルンゼから尾根に上がった。続く私は確保されているので安心感はあるものの、核心部では参考記録のIさんが99年にセットしたシュリンゲに全体重をかけてしまった。切れなくてよかった〜ぁ。
後で聞けば深澤さんは「あんな鎖に体重なんて掛けられないよ」
そんな事言ったってできないもん P2トラバース

トラバースを終えて深澤さんが確保してくれている尾根を目指してルンゼを左上するが、緩く見えるこのルンゼには濡れた泥が詰まって悪いこと。2度ほど滑って悲鳴を上げた。
なんとか尾根上に上がってホッ、ロープを仕舞う。

P3基部からは垂直の鎖の下降とそれに続く40mの大トラバースが待っていた。下降は大した事はなかったが、大トラバースは確保が無かっただけに冷や汗物だった。P2トラバースと違ってステップはあるというものの何十mだか垂直に切れ落ちた岩壁のトラバースである。輪にしたシュリンゲを鎖に通しセルフビレーを取りながら通過した。本来はここも要確保である。
トラバースを終えても続いた鎖を使って再び尾根上に躍り出た。

P3と星穴岳のコルからは一旦トラバース気味に右上して安定したバンドを辿って左へ向かい、登れそうな斜面を適当に登ると星穴のコルに出た。
そのコルには星穴へ降りる懸垂用のしっかりした残置があるが、空中懸垂になるので降りたら戻れない。
(実は二人ともユマールを持っていた事を忘れていた。)
仕方ないので星穴ツアーは諦め、空身で山頂まで20mほど登った。数人でいっぱいになる狭い山頂の突端に突き出た岩に深澤さんは登ったが、私は怖くて遠慮した。

帰路はP3と星穴岳のコルから星穴沢へ50m×3回の懸垂下降。星穴沢を少し歩いて降り、歩けるところを適当に右へ右へと歩くと難なく女坂へ出た。
星穴橋では遭難者のご遺族なのだろうか線香や花を捧げている場面に出くわし、ちょっと沈んだ気分で国民宿舎へ戻った。

  山頂から見たP3

【参考】今回使用した登攀用具
靴;5・10ガイドテニー(登山靴では厳しいかも)、50mロープ2本(必携)、ハーネス(必携)、シュリンゲ、カラビナ各6(必携)、ヘルメット

ルートミス用にハーケン、ハンマーも有った方が安心です。