風穴尾根は裏妙義の縦走路上の烏帽子岩と三方境の中間にある小ピーク(風穴尾根の頭)から南東に派生し、P9からP1を経て899mの鶴峯山までの鋭い岩塔を擁する顕著な岩尾根である。

2001年のエアリアには道不詳という注釈付ながら破線の登山道が掲載されていたということであるが、現在では歩く人も稀となりネットで検索してもにこちゃん
sの記録ともう一つしか見つからない。西上州バリエーションの師天野さんのHPでも国民宿舎から鶴峯山までで、その先には触れられていない。

山名/山域 裏妙義風穴尾根(鶴峯山〜P7)/西上州
日  時 2006年12月3日(日)  
天  候 晴れ
交  通 花園IC(5:10)→関越道、上信道→松井田妙義IC(6:01)→国民宿舎裏妙義(6:30)
ル ー ト 国民宿舎裏妙義(6:50)→鶴峯山(9:40-10:00)→風穴(11:40-45)→縦走路(風穴尾根の頭)(13:10-13:30)→三方境→国民宿舎裏妙義(14:50)
(所要時間:8時間00分)
メ ン バ ー 深澤さん、常吉 (熊谷山旅会)
地 形 図 1/25000 南軽井沢
使用登攀具 9×45mロープ、ハーネス、カラビナ3、シュリンゲ数本、環付きカラビナ2、ヘルメット
関連リンク 鶴峯山JPの迷走(2005年) にこちゃん'sの記録

左が鶴峯山、右はジャンクションピーク(2005年12月17日撮影)
私が昨年初めて風穴尾根にチャレンジした時には鶴峯山ジャンクションピークを迷走してその頂上直下で敗退、2度目の今年秋はなぜか国民宿舎から上だけが雨に包まれていたために駐車場で敗退、先月の3回目は突然発生した低気圧の接近で前夜の中止。

まるで神様に護られているかのような尾根である。

ちなみに昨年のジャンクションピークでは頂上直下の50mの垂直の岩壁を深澤さんの力で突破し、そこから先はただ歩いて僅か登ればピークという地点まで来ていたのに、ジャンクションピークに居るとは夢にも思わずピークを踏まなかったことが今も残念。

昨年の迷走に懲りて今回は天野さんのガイド文と地形図を事前に何度も照らし合せてみたが、地形図自体からジャンクションピークが抜け落ちているくらいだからいかんせん判然としない。




                                     途中で見えた木戸の岩壁の「穴」、次・・・?
しかし地形図を眺めているうちにこれなら何とかなりそうというルートが浮かび上がってきた。


今回はそのルートを詰めることで、結果的に危険な岩場にも出会うことなく難なく鶴峯山の頂上岩壁直下に出ることができた。難なくと言っても上部2/3ほどは木の根頼りの気を抜けない急登が続き、ロープは不要ながらも油断は禁物。






登りつめた地点は登攀不可能な上部岩壁の基部。狙い通りの地点だ。ここまで登ってきた動物たちが踏みしめてできたと思われる登山道のように快適な獣道で上部岩壁を巻いてジャンクションピークとのコルを目指す。

 本峰頂上直下の岩壁                                      下の廊下??
コル直下には落ち葉の詰まった凹角の短い岩場があり、深澤さんが腿までの落ち葉ラッセルしながら乗り越した。易しいけれど万が一転落するとどこまでも止まらないだろうからと投げ下ろしてくれたロープをもらって私も続いた。

風が吹き抜ける狭いコルから左手の浅い土のルンゼを詰めれば鶴峯山北東尾根、その稜線を少し進むと頂上直下の大岩に行く手を阻まれる。天野さんのガイド文によれば右手から回り込むほうが幾分か安全とあったが、回りこんだ先の様子が見通せないので左の急な潅木の斜面を念のためロープで確保して登ると木立に囲まれた鶴峯山山頂に到着。


昨年の迷走から思えば今回はあっけないくらい順調、怖い思いもすることがなかったのでちょっと拍子抜け。こんな酔狂な藪山に何度も付き合ってくれた深澤さんに感謝、そしてがっちり握手。

山頂は見通しが利かないが、南端には高度感バッチリの見晴らしがあった。さっきまであんなに高かったジャンクションピークやはるか下には国民宿舎が見下ろせるが、すっぱり切れ落ちていてお尻がムズムズ落ち着かない。







さて、いよいよ風穴尾根の縦走である。山頂まで来てしまえば後は主尾根歩きなので間違える訳がないと思って、コンパスの確認もせずに明確な尾根を辿ると何だか向きが違う。どうやら鶴峯山は双耳峰になっていてその一方へ行ってしまったらしい。ひょうたんから駒で双耳峰一挙制覇。もちろん最初の山頂へ戻ってコンパスで方向を確認してやり直し。お粗末。

  簡単だけど高度感タップリ                         足下は、ウン10m・・・ ゾクゾク・・・
風穴尾根の頂稜歩きにこだわったにこちゃん
'sは各ピークを一旦巻いて下降路があることを確認した上で元に戻って稜線上を歩いたそうだが、日が短いこの季節、我々にそんな気持ちの余裕はなかった。

鶴峯山を降りてちょっとスリルあるやせ尾根を抜けた後はこだわりなしに右に左に巻き道歩き。と言っても踏み跡や目印がある訳でもなく、岩や藪の先の様子が読めるわけでもないので行けそうなところを行ってみるしかない。行き詰れば戻って別なルートを探すだけ。

結果的には技術的に難しい所はなかったが、こうした岩尾根の弱点探しが藪岩ルートの楽しみの一つ。

しかし、ルートやコースタイムの詳細を書いてしまうとルーファンの楽しみが半減するので控えます。

                                               やりました!!
そうこうしているうちにお待ちかねの風穴の登場。表妙義の石門群、星穴岳の大小二つの穴、木戸の岩壁の穴、どういう加減でこの辺り一帯に摩訶不思議な穴が集中しているのだろうか。

風穴の先に続く幾つかの尖塔も巻き、次に尾根に戻った時にはすでに急峻な岩尾根は平凡な潅木の尾根に変わっていた。帰宅後、先に挙げた二つの記録を読み返してみると実は途中のルンゼからもう一度岩尾根上P5付近に戻れたらしい。残念。

平凡になった風穴尾根を詰めると突然明確な踏み跡と合流、黄テープもあり不思議だなぁと思っていたらそれが裏妙義の縦走路だった。思いがけずに短時間で済んだ縦走の成功を祝って深澤さんとハイタッチ。

三方境から国民宿舎へ向かう下山路の樹間からはさっきまで歩いていた風穴尾根はもちろん風穴までもが望め、あそこを歩いて来たんだという達成感と満足感に浸りながら下山した。



本ルートには道迷いや転落の危険が付きまとい、十分に山慣れしていることやロープによる確保技術を身に付けていることが必要です。またクマの聖域でもあります。入山に際してはこれらを十分留意されますようお願いします。